蓮月 大田区池上

蕎麦とラーメンのどちらが好きかといわれると、季節による。夏なら蕎麦屋に決まっている。大もりを頼む。冬ならラーメンだ。私は北海道で育ったので、圧倒的に蕎麦より味噌ラーメンを食べて生きてきた。

しかし、最近一番人気のとんこつラーメンはぬるくないか?昔の札幌ラーメンは、ついうっかり頭からかぶったら大やけどで死ぬだろうなと子供心に考えていたくらい熱くて、また、スープがどんぶりの縁までなみなみと入っているものだから、カウンターに下ろす時にかなり勇気がいるものだった。

池上本門寺近くの蕎麦屋蓮月(正式には蓮月庵さんというのかな)に初めて行ったのは、日本がまだ平和だった1992年頃だったと思う。「バブルがはじけた」なんていっても、まだまだ日本には余力があり、景気がよかった。1995年の阪神大震災とオウム事件で何か世の中が変わってしまった印象がある。

当時は、私もまだ結婚する前だったが妻も若かった。池上線に乗って散歩がてら池上本門寺に参拝し、相模屋さんでくず餅を買い、帰りに古い建物の蓮月を見つけて入ってみた。ビールを頼んで鴨南蛮を食べた記憶がある。

本門寺の駅からは、商店街になっている池上本門寺までの参道を10分くらい歩くと山門に着く。山門の辺りは人がいなくてもさぞかし昔は賑わっていただろうという雰囲気が残っている。そこを左に曲がって少し歩いたところにある。蓮月は住宅地の中にある蕎麦屋さんだ。

その後、仕事の関係で、時々この近くに来るようになり、その度に池上本門寺に参拝して蕎麦を食べるのがセットになっていた。店主がご高齢なので、長期休業していることが何度かあったが、しばらくたって行って見ると復活していた。

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満員で混んでいる蕎麦屋さんではないけれど、蕎麦の醤油だしの匂いと古くなった建物のにおいがなんともよい感じだった。子供の頃に見たことのあるコカコーラの冷蔵庫が正面にあって、いつも戸を開けて店に入るとああ懐かしいなあと思うのだ。

特に夏の午後に寄ると、土間のままのようなお店の中は少しだけ涼しくて、風がよく抜けていく。初めて来た頃とは違って、お孫さん(?)の習字が飾ってあったり、生活感があふれるようになったが、ラジオがいつも流れていてそれがまたよかった。

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ところが、2014年になって蓮月が閉店してしまった。店主がご高齢だったからいつか引退する日は来るだろう。しかし、昭和初期に建ったという、この2階建てのお店はどうなってしまうのだろう?誰か引き継いで蕎麦屋さんを営業する人はいないのかな。近所に住んでいるわけではないが、気になった。壊してしまうのはとても惜しい。

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自転車で多摩川を走って羽田に行った帰りに、時々お店を見に寄るようになった。建物は、しばらくそのままになっていたが、あるときに、池上の古民家「蓮月」徒然日記 ~「蓮月」復活プロジェクト~というブログを教えてもらい、ああよかったと胸をなでおろした。

あの建物を残したいと考える人は、やはり多かったんだ。

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夏の終わりに寄ったときは、1階の内装を工事していた。看板が出ていて、確か、豆の店蓮月と書いてあったようだから、カレー屋さんになるのかと思っていた。

先月、10月になって多摩川を走った帰りに行って見たら、実におしゃれな感じになっていた。看板が出ていなかったので何のお店なのか分からなかったが、カレー屋さんではないのは分かった。

新しい写真と前の写真を比べると、入口の引き戸は新しくなっているけれど、引き戸の横にある窓は、桟が同じで、磨りガラスを透明なガラスにしたのかな。それだけで雰囲気がとても変わる。

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この日も閉まっていたので、何屋さんなのかよく分からなかった。今日、久しぶりにネットで探してみたら、新しくなった古民家カフェ蓮月のサイトが見つかった。カレー屋さんではなくカフェになった。この建物の2階が昔から謎だったのだが、10畳、10畳、12畳という広い部屋が3つもあったとは。

昔は、きっと蕎麦屋さん繁盛していたんだろうな。新しいお店も繁盛してずっと続くように祈ってます。

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