杉並区 萬龍軒 どん玉 代ゼミ生のソウルフード

30年くらい前の話なのだが、私、大学に落ちて浪人となり、代々木ゼミナールに通っていた。現代国語の堀木博礼や英語の青木義巳という教師が人気講師だったころだ。

堀木氏の授業はかなり知的好奇心をくすぐられるもので、その授業で柄谷行人の「日本近代文学の起源」という本が紹介されていたのを今でも覚えている。授業が始まる前に、その日の問題の解答を黒板に書いておくと、解説つきで添削してくれるのでとても面白かった。

当時、代ゼミ7号館に自習室があったのだが、くたびれると明治神宮まででかけて原宿までの参道をよく歩いたものだった。その途中、山の店山幸の並びに萬龍軒という中華屋があり、腹をすかせた友人がよく行っていたらしい。

ある時、誘われて行ってみたのだが、とてつもない大盛りのどん玉という丼にたじろいだ記憶がある。私も大食いはオッケーだったのだが、すごいなと思った。

近頃、おっさんになったその友人とその頃の昔話をしていたのだが、彼から調査依頼が来た。どん玉が荻窪で食えるというのだ。お店が荻窪にあるそうなのだ。萬龍軒というのだとか。名前を聞くとなんとなく思い出す。

萬龍軒の萬龍は、字が少し違うのだが、私と友人にとっては馴染みのある特別な名前なのだ。そういわれるとそうだったかなという名前だ。

早速行ってみた。

荻窪駅北口に降りた。北口に降りると、すぐ右に昼から営業している焼鳥屋がある。中央線らしいお店だ。そこから右手を見ると、珍来という中華屋さんがある。その暖簾の先を右に曲がる。

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すると、すぐに左手に荻窪北口駅前通商店街というアーケードがかかった小さな商店街がある。その中に萬龍軒があった。

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通路が狭いのと持っていったデジカメが広角側の性能がよくないので、これが精いっぱい離れた画なのだ。

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小さいがこざっぱりしたきれいな店だ。席に座って注文を聞かれ、「どん玉下さい」というと、奥さんの目がきらりと光ったような気がした。

少し待っていると、スープとお新香がまず出てきた。スープの大きさに見覚えがあった。そうだ、でかかったよなと思ってカメラを出していると、どん玉をご主人が持ってきてくれた。

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ご主人は、開口一番、「お兄さん代々木の人?」
「そうなんですよ。30年ぶりで」
「うちに初めて来てどん玉注文するのは99%、昔、代々木の人なんだよね」

そこからは、昔話である。
ただ、私は数える程しか行ったことがないので、何となく外で食べたような気がするとか記憶が定かではないのが少し申しわけなかった。

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スープを飲むと、少し昔の記憶が蘇ってきた。そうだこんな味だったなあ。どん玉の味はあまり覚えていない。野菜炒めを卵でとじたものが丼飯の上にのっているような感じだ。食べながら、ご主人の話を聞いていたが、最近、ブログを読んで昔を懐かしんで食べに来る人が増えているのだそうだ。

「オレもう先が長くないのかなと思ったよ」
などと冗談めかしておっしゃっていたが、そんなことはなく、みんな当時を懐かしんで、休日の夜などに若い頃の思い出をネット検索しているのだ。

海外から一時帰国した人もネット検索して食べに来たというから、本当に萬龍軒のどん玉は代ゼミ生のソウルフードだったのだ。

代々木時代は、大盛りの上に地獄盛りもあったのだそうだ。毎日午前中から代ゼミ生が列を作るので、とてつもない量の飯を炊いていて、炊飯釜は1年でオシャカになったとか。そんなご主人を一枚撮らせてもらった。どん玉の値段は、735円。今も昔もお腹いっぱいだ。

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昔懐かしい所に行くことはあるが、こうやってその当時の話をすることはほとんどない。心が少しほかほかした午後であった。

萬龍軒
東京都杉並区上荻1丁目6−1
TEL 03-3220-7341‎

2014年3月8日放映、フジテレビの「有吉くんの正直さんぽ」で、萬龍軒とご主人とどん玉が出ていました。今でもどん玉は健在です。どん玉世代の代ゼミ生は、50歳くらいになっているのではないかな?

2017年8月追記。

どん玉の記事を書いたのは、2008年のこと。最近、私にどん玉を食べに行ってくれと頼んだ友人が出てきて、萬龍軒に行って来たと写真を送ってきた。

昼時で混雑していたが、どん玉を注文したお客は友人だけだったそうだ。ご主人はやはり代ゼミの人だろうと思ったらしく、何かと気にかけてもらったのだとか。友人はとても喜んでいた。

「代ゼミ」をキーワードに、何十年経っても場所が変わっても集まってくる元代ゼミ生と、若い頃のまま元代ゼミ生に何かと気遣いしてくれるご主人がいるお店なんて、めったにあるものではないのではないか?

途中で箸をレンゲに持ちかえて食べたので、代々木の人だと分かるらしい。ご主人は代々木時代、大盛りを食べる人に「レンゲで食べないと食べきれないぞ」といっていたとか。

どんたま

昔ののれんは紺色だったが、今は白に変わっている。ちなみに上の写真は、2005年に買ったデジカメで撮ったもので、広角側の性能が悪いので、あれで、いっぱいいっぱいだった。

あれから12年経って、電車に乗るとほぼ100%の人がスマホの画面を見るようになるような時代が来るとは思わなかったね。

スマホについているカメラも高性能化して、広角側の性能もよくなっている。

萬龍軒

ご主人も奥さんも、上の写真の頃と変わらずお元気そうだったといっていた。どん玉と萬龍軒は健在である。元代ゼミ生のみなさん、ご安心を。

代々木に関しては、ポパイについても書いています。

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代ゼミの自習室があった7号館があたりは、代々木ビレッジになった。

渋谷に所用があり朝から行ったのだが、思いの外時間がかからなかった。雨が降っていたが、久しぶりに代々木界隈まで抜けてみようと思った。タワーレコ...

休日前の夜、一杯飲みながら懐かしんでいただけたら私もうれしい。

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コメント

  1. shima より:

    じみーさん
    コメントありがとうございました。
    萬龍軒、相変わらず熱いですね。
    この記事を書いてから4年以上経っていました。いや~早いもので。
    考えてみると、この時から荻窪で下車してないかもしれません。ご主人がお元気なご様子で何よりです。

  2. shima より:

    富士さんさん
    コメントありがとうございました。
    スープを一口飲んだとき、豚骨のにおいが何だこれはと思った記憶があります。ただ、荻窪に行ったときにスープを一口飲んですぐに思い出しましたから、においとか味の記憶って確かなものですね。ニラレバやラーメンを食べた記憶がありません。チャーハンは食べました。確かラーメンどんぶりに山盛りだったような・・・。

  3. じみー より:

    皆様のコメントをたいへん懐かしく拝見しました。
    ボクも30年以上前に代ゼミに通っていたことがあり、それ以来間断なく現在もお邪魔しています。
    ドン玉を食べるとがむしゃらに青春していた十代がよみがえりますね。
    今でもお店の二階で当時の同窓会なんぞを開いていますので、機会があればご一緒しましょう。
    さきほども、ちょいと用があって萬龍軒のマスターに電話したところでございます。

  4. 富士さん より:

    私にとってどん玉とは代々木時代の昼食の定番という懐かしい思い出でした。場所は千代通り入り口の交差点を左へ入り、ちょっと坂を下って4、50mだった記憶があります。どん玉の味は独特でしたね。初めて食べた時の違和感は衝撃的でした。誰が食べても最初の一口は、豚骨の臭みが際立っていて「臭い」と思ったのが正直な印象でした。(移り香になることも)でも、この豚骨の強めの香りと味は、若し頃の舌に強烈な印象で中毒のきっかけになったのでしょう。豚骨風味の効いたレバにら炒めやラーメンもお勧めでしたね。

  5. shima より:

    Chopinさん
    コメントありがとうございました。代ゼミ付近もだいぶ変わりましたね。代々木に降りたりなさいますか?ポパイとオリーブ堂は健在です。どん玉いかがでしたか?今思い出しましたが、どんぶりに入ったチャーハンも食べたことがありました。最近、荻窪に降りていないので、今度また行ってみようと思います。

  6. Chopin より:

    本日30年ぶりで、”どん玉”を食しました。最初に口に入れた瞬間「この味」とビビっと昔の記憶が蘇りました。懐かしい。代金を払った後、ご主人が「代々木の人」と声を掛けてくれました。その後10分位昔話をし、「又来ます」と言って店を出ました。この店が代々木にあればもっと通えるのになと思いました。

  7. shima より:

    JI1Vさん
    コメントありがとうございました。人間視覚よりは嗅覚の記憶の方が強いのか、スープのにおいで思い出しましたよ。この間、代々木を歩きましたが、昔の代ゼミは今は昔で、西新宿よりの方に高層ビルができているんですね。

  8. JI1V より:

    初めまして。
    私も30年くらい前に代々木に居まして、ここに度々行ってました。今のところ、年に1回は行ってるかな。当時の友達と会うときはここに集まることが多いです。実は荻窪駅の、ロータリ?の西側に店があった時もあるんですよ。
    今はココの大盛りは食べられなくなっちゃいまして、ましてや地獄盛りなど….