祐天寺にあるC57の車輪

以前、祐天寺に取引先があり、商店街を歩いていると機関車の車輪があるのに気がついていた。通り過ぎるたびに「なぜここにあるんだろう?」と思いながらも案内を目にすることもなかった(と思う)ので、数秒後にはいつも忘れていた。

しかし、何年ぶりか思い出すのに時間がかかるくらい久しぶりに歩くと看板があった。車輪は主動輪というんだ。

C57117号蒸気機関車主動輪

ここに展示されている主動輪はC57117号蒸気機関車のもので、中央部に位置する主動輪は心臓部ともいえる。ボイラーからの蒸気はシリンダーを介し動力となり、直接この動輪に伝えられ、第一動輪と第三動輪を駆動させ走行することができる。

このC57117号の経歴で特筆すべきは、1973年4月の宮崎植樹祭時に日豊線で昭和天皇のお召し列車を牽引したことである。これは「日本最後の国鉄蒸気機関車牽引のお召し列車」ともなり、大変貴重な経歴を持つ蒸気機関車である。

C57117号の本体は保存場所が見つからず惜しくも解体されてしまったが、先輪が鹿児島県貼佐駅前のC5553号蒸気機関車に装着され保存、第一動輪が宮崎県都城市西都城駅前にて保存。主動輪が国鉄より払い下げられ当地に保存される。

所有者:社団法人 鉄道文化振興会・カレーステーション ナイアガラ

カレー屋さんのナイアガラのものだったんだ。なるほど。ナイアガラさんは以前は祐天寺駅前ロータリーに面した場所にあったが、今は、少しだけ離れた所に移転している。

鉄道ムードのカレー店:ナイアガラ
カレーステーション ナイアガラ

食べ終わって会計すると、昔の切符(硬券)をくれた。

せっかくなので看板の下の方にある表も書き写しておこう。

C57蒸気機関車
愛称貴婦人
製造日1937年-1953年
製造所川崎車輌、汽車会社、三菱、日立
総製造数215両
軸配置(アメリカ式)パシフィック
動輪径1,750mm
全長20,280mm
全高3,945mm
総重量67,50t(含淡水車重量)115.50t
ボイラ(加熱式)圧力16.0kg/cm2
出力1,040PS
引張力12,820kg

さらにこのような記録も残っている。

C57117号履歴
1939-10-23三菱重工業神戸造船所
1939-10-23広島局 運転開始
1941-3-31糸崎
1945-4-1糸崎
1946-3-31熊本
1961-9熊本→鹿児島
1962-4-1宮崎
1962-10-1鹿児島
1967-10小倉工場にてC5560号の門デフ(K-7型)流用取付
1968-3-31熊本
1973-4-10宮崎植樹祭お召し列車牽引 高鍋-宮崎
1973-4-12宮崎植樹祭お召し列車牽引 宮崎-延岡
1973-4-9宮崎植樹祭お召し列車牽引 西都城-宮崎
1974-4-26第一種休車指定 宮崎
1974-8-18廃車 宮崎
1974-9-1最後のお召し列車牽引のため、
鹿児島県出水機関庫跡に保管、荒廃
1976-4-1内藤博敏氏が個人払下を国鉄に嘆願
1976-5-27鹿児島工場にて解体、主動輪保管
1976-6-30交通博物館の協力にて国鉄より払下
1976-7-10平塚義雄氏の協力にて当地公開決定
1976-8-7交通企業(株)にて当地に軌道設置
1976-8-27日本通運(株)搬入
1976-9-15祐天寺平塚幼稚園にて展示公開
1982-2-28兵庫県福知山駅CTC化により廃棄された
腕木式構内出発信号機設置

表に出てくる内藤博敏氏とは2017年に逝去されたナイアガラ駅長・内藤博敏氏のことだ。1956年に東急に入社されて、東急ゴールデンホールでコック修行をし、1963年にナイアガラを開店されたとあった。

「交通博物館の協力」と書かれていて思いだした。昔の秋葉原にあった交通博物館にも蒸気機関車がシンボルみたいにあったなあ。

動輪は塗料をしっかり塗って防錆しているのではなく、磨いて油を塗っているようだ。油が光っていた。毎日のように手入れしないと錆びるだろうな。

これを見るとだいたいの大きさがおわかりになると思う。枕木で囲ってあるところもこだわりを感じるね。信号も設置されている。

私が子供の頃、住んでいた北海道ではまだ資材運搬などに蒸気機関車が使われていたので、走っている姿はよく見ていた。そうそう、当時はまだ石炭を掘っていたんだ。家庭や学校でも石炭ストーブを使っていた。その後便利な石油ストーブに替わったけれど。

子供は音が大きく煙を吐いてリズミカルな蒸気機関車が好きだから、跨線橋の上で待ち構えていて煙に巻かれて喜んでいたりしたものだ。

すごい。ちゃんとグーグルマップにも載っていた。

蒸気機関車主動輪 C57 117号 · 〒153-0052 東京都目黒区祐天寺1丁目24−14
★★★★☆ · 観光名所

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