丸子橋近くで多摩川に合流する丸子川を上流に向かって走ると、仙川と合流する。その先は世田谷区大蔵に出る。道なりに少し進むと、小さいがきれいなお寺がある。永安寺だ。永安寺は天台宗のお寺だ。
永安寺に行く途中にある氷川神社については、すでに記事を書いた。この氷川神社の別当寺が永安寺だったそうだ。
別当寺は、神社を管理するため神社の上に置かれていた。
境内には大きなイチョウが2本あった。立派な木だ。今度もっとワイドに撮れるレンズをつけてもう一度撮る。
早速、ごあいさつさせていただいた。
境内は清浄感がただよい・・・と書きたいのだが、この日は一体何度あったのか。37℃だったか。おまけに湿度が高く、立ち止まるとすぐに汗がしたたり落ちるほど。セミもワンワン鳴いていた。
龍華山長寿院永安寺の本堂
なかなか詳しい説明書きがあった。
龍華山長寿院永安寺の本堂
寛保二年(一七四二年)江戸時代中期建立
「本堂の歴史」
第一四世随道大和尚により建立されました。昭和三十五年に大改修工事が行われ、江戸時代の姿をとどめた茅葺屋根が平瓦葺に直され、小屋組、基礎や柱脚部も補強されました。
当山開創六百年再興五百年記念事業として壇信徒の寄進により、平成十二年に再度の大修復工事を行い、現在の伽藍(がらん)になりました。
本堂前の左右の鬼瓦の置物は、昭和三十五年から今回の修復まで本堂の屋根の鬼瓦として使われていたものです。
「本堂内部の特色」
天台宗本堂としての特長が、内陣の来迎柱(らいごうばしら)や、内陣と外陣(げじん)境の大虹梁(だいこうりょう)に良く表れています。
平面形式での大きな特色は、柱と柱の間を一間六尺(約一・八二m)ではなく、二間半十五尺(約四・五五m)の半分の七・五尺を採用しているために、とても伸びやかで明るい空間になっています。
「平成の大修復工事」
「内陣・屋根」内陣は漆と金箔によって荘厳し、ご本尊様と須弥壇(しゅみだん)、宮殿(くうでん)仏具類の修復をしました。
小屋組をやり直し、軒先を補強することで、軒の反りや屋根の線を直して本格的な本瓦で葺き替えました。
この瓦は最も伝統のある奈良製で、軒先の丸い瓦には、天台宗総本山比叡山延暦寺より正式に許可された延暦寺紋「菊輪宝」(きくりんぽう)紋が使われています。
そして各棟には鬼瓦が備えられて、格式の高い屋根となりました。
「軒唐破風・浜縁・建具等」
正面の向拝(ごはい)は、軒唐破風(のきからはふう)という珍しい形で、永安寺本堂の大きな特色となっていますが、銅板も葺き直し、形も整備しました。
外部に面する建具は、天台宗にふさわしい形式に作り直し、建物回りの浜縁と高欄も新しくされ、建物の建つ基壇と、その周囲の雨落溝と境内の敷石も整備しました。
合掌
平成十二年十一月二十五日
永安寺
永安寺本堂の仏様
こちらも詳しい説明があった。
永安寺本堂の仏様
本尊 千手千眼観世音菩薩様
ご本尊・千手千眼観世音菩薩(せんしゅせんがんかんぜおんぼさつ)様は、比叡山で今から約千年程前に「往生要集」を著した恵心僧都作と伝えられています。
秘仏でしたが、開創六百年、再興五百年記念祭を機にご開帳をしました。お前立ては鎌倉時代の作と伝えられております。
千の慈悲の手、千の慈悲の眼をそなえて私達衆生を救済することから、大慈悲観音とも呼ばれています。
千手というのは、観音菩薩の救済のおよぶ範囲が広大でその方法が無量であることの象徴です。
疑いを持たず、ただ一心に「南無観世音菩薩」と観音様のみ名をお称えすれば、私達の苦しみ悩みに応じて、さまざまな姿に変えて観音様は救ってくれます。永安寺の千手千眼観世音菩薩様は、はかり知れないほどの功徳で私達を導いてくれます。
不動明王様と毘沙門天様が脇侍仏です。
秘仏 石薬師如来様
石薬師様(秘仏、年代不詳)はお参りするとたちどころに病が治るといわれております。霊験がいちじるしかったので、江戸時代には人々は恐れて境内に埋めてしまったそうです。現在は本堂におまつりしています。
本堂の諸仏様
本堂にはそのほかに薬師如来様、阿弥陀如来様、大日如来様、地蔵菩薩様、聖観音様、不空羂索観音様、弁財天様、弁財天十五童子様等の仏様が安置されています。
永安寺の六観音様
六観音様はこの世の苦を救ってくださり、来世にあっては浄土に往生させていただけます。天台宗の六観音は、聖観音様、千手千眼観世音菩薩様、馬頭観世音菩薩様、十一面観世音菩薩様、不空羂索観世音菩薩様、如意輪観世音菩薩様です。
また、准胝観世音菩薩様を加えて七観音ともいいます。
永安寺には六観音様を次のお堂や場所におまつりしてあります。
聖観世音菩薩(しょうかんぜおんぼさつ)様(本堂および墓地入り口の供養塔)
千手千眼観世音菩薩(せんじゅせんげんかんぜおんぼさつ)様(本堂)
不空羂索観世音菩薩(ふくうけんさくかんぜおんぼさつ)様(本堂)
十一面観世音菩薩(じゅういちめんかんぜおんぼさつ)様(開山堂長春殿)
如意輪観世音菩薩(にょいりんかんぜおんぼさつ)様(七宝塔早雲)
馬頭観世音菩薩(ばとうかんぜおんぼさつ)様(山門前及び墓参道途中右手)
准胝観世音菩薩(じゅんていかんぜおんぼさつ)様(墓地内歴代住職旧跡。七観音になります)
合掌
平成十二年十一月二十五日
永安寺
東京都世田谷区大蔵6丁目4
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